2006年08月22日

中心市街地活性化法の改正

中心市街地活性化法の改正今年の6月に中心市街地活性化法を含めてまちづくり3法が改正されたのはご存知だろうか。
まちづくり3法とは、いわゆる都市計画法、中心市街地活性化法、大規模小売店舗立地法(大店立地法)の3つの法律の総称である。このうち平成18年6月に都市計画法と中心市街地活性化法の改正が行われた。都市計画法改正では床面積1万平方メートル超の大規模集客施設の郊外への出店を大幅に規制し、「第2種住居」「準住居」「工業地域」には原則として出店ができなくなった。また中心市街地活性化法改正では、都市機能の集約と中心市街地の再生に意欲的な自治体を積極的に支援することにしている。この両法律の狙いは、大型店舗の郊外出店を規制して、市街地における中心商店街の衰退を食い止めようとしていることにある。
旧法と改正法での違いはどこにあるのだろう。
 旧法の中心市街地活性化法では、国は法の施行によってその基本方針を示すことに止まり、地域の推進役として、基礎自治体を位置づけそのイニシアティブを最大限発揮できるようにした画期的な法律である。
各自治体がそれぞれ、独自に中心市街地活性化エリアの範囲選択、エリア内で実施する事業を中心市街地活性化基本計画とし策定し公表すればよかった。計画自体に国や都道府県の許可や認可を一切必要としておらず、自治体の自治権が保障されていとことになる。もちろん、基本計画の策定も義務ではなく、地域の自主性に任されていた。
 実際の事業主体であるまちづくり機関=TMOについても、新たに自治体が4%以上を出資する条件において(高度化事業計画を実施する場合には二分の一以上の出資)特定株式会社の設立も可能であり、既存の商工会議所、商工会、財団法人等をTMOとし位置づけることが可能で、地域特性を反映し選択できるようになっていた。
 事業メニューにおいても、従来型といわれる建設面積や導入機能が限定されておらず、自治体の自主性に委ねられており、特に、地価の高い都市部にて、施設基盤整備とサービズ産業重視型機能導入を前提とし、運営を一体的に支援されるスキームがこれまでのなかった面から見れば、中心市街地活性化方法は国が意図したことではないが、実は都市部の自治体にとって、最も有効な事業スキームになっていた。いわば国の英知を傾け、自治体の自立を促し、自らの選択と行動にて事業実施できる権利と体制を法律で保証したのである。
 
しかしながら、この旧法の本質を見抜けた自治体は少なかったといえるだろう。それは、数々の中心市街地活性化法における事業検証報告書が指摘し、統計上からも数字の増加は見込めなかったのである。

その原因となるのは、
(1)中心市街地活性化方法への理解が不十分であった。
法律体系が複雑でること、手続きが煩雑であることで、自治体として取り組もうとい
う意欲が沸かなかった。中心市街地活性化法への認知と理解のための勉強と調査をお怠った。
また8省の総合メニューに魅力を感じなかった。

(2)中心市街地活性化方法は商業活性化のみという幻想があった。
ある意味、中心市街地活性化法では、駅前商店街の支援が中心としてPRされており、他の省庁の
支援メニューへの関心が薄れ、商業以外の施策が可能にみえなかった。
国の制度をそのまま読んだに過ぎず、各自治体でやるべき事業、やりたい事業に制度を
どう活用するのかという視点がない。相変わらず、国の言うとおり待ちの姿勢であり、
条件があわなければ手を挙げない実施しないと諦めている。

(3)事業主体となるTMOのまちづくり機関においても、商工会議所を選択した自治体も多く、会議所のスタッフがTMO兼任するなど、専任スタッフ、開発・経営能力不足がはじめから指摘されてきた。特に、TMOの独立採算で自立した経営には、民間企業の会社経営能力が不可欠であることや事業企画力は、TMOの生死にかかわるが、売上げを確保し黒字化できる事業立案できる能力は、民間機関の支援が必須だった。TMOの要は人材と英知である。

 自治体は中心市街地活性化基本計画を策定したのち、TMOにはやるべき機関を選定したのではなく、選定可能な機関にその業務を押し付けたところが多かった。もともと経済産業省は中心市街地活性化法で、会員数減少で沈滞気味の商工会議所と商工会の活性化推進という思惑が働き、TMOとして位置づけ他ことは明白である。
 商工会議所はいわば互助組織であり採算型の事業主体になるには、もともと力不足であり、地元機関の実力も把握できておらず、事業は最初から失敗が予測された。

 改正法では、支援制度の拡充の名の下に、内閣に内閣総理大臣を本部長とする「中心市街地活性化本部」を創設し、やる気のある自治体を選別し、そこに集中して支援を行うこととなろう。
それは、いわば、一方で自治体の切捨てを意味し、一方では意欲的な自治体の動きを早めることになろう。
全国の自治体は、この改正での政策転換を正確に把握することが最も重要となろう。黙ってみているのか。上手に利用していくのか。自治体の責務はさらに重く、拡大したことになる。市民やNPO,民間企業においては、こうした政府による政策転換を見逃さずに、しっかりと監視し、また自治体とともに連携して地域経営に乗り出さねばならぬ。
 改正による自治体の取り組みは始まったばかりで その成果は今後10年の自治体での取り組みにかかっている。旧法での失敗のてつを踏まず、自治体はしたたかに、しなやかに動き出さねばならない。その責務は重い。


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Posted by 関幸子 at 00:56│Comments(0)まちづくり
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